蔚山現代を圧倒した鹿島。もはや「韓国コンプレックス」はなくなった (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 ところが、この試合で警戒していたのは韓国のほうだった。鹿島のサイド攻撃への対策をしっかりと敷き、自分たちのよさを出すのではなく、相手のよさを出させないサッカーを徹底。それを鹿島がいかにこじ開けていくのかが、この試合の焦点だった。鹿島が先制後に危なげない戦いをできたのは、プランを崩された蔚山現代側が意気消沈したことも影響しているはずだ。

 Jリーグ王者とKリーグ3位のチームという両者の置かれた立場の違いもあるだろうし、現役時代にヴィッセル神戸に所属し、当時の鹿島の強さを知るキム・ドフン監督が指揮官だったことも影響したのかもしれない。あるいは、昨年のクラブワールドカップのインパクトが大きかったのかもしれない。いずれにせよ、既存の「対韓国」の構図はそこにはなく、精神的なイニシアチブを握っていたのは間違いなく鹿島のほうだった。

 爆買いで圧倒的な戦力を擁する中国勢の存在は脅威ではあるものの、過去の優勝回数を見ても、韓国勢を倒さなくてはアジアの頂点に続く道は切り開けない。その意味で鹿島は、この試合で単なる1勝ではない、大きな勝利を手にしたのではないだろうか。

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