1ステージ制は選手層。福田正博が
予想する今季のJリーグ上位クラブ

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • Photo by Kyodo News

 そういった、始まってみなければわからない点をふまえても、昨年のJ1王者である鹿島アントラーズは盤石の補強をしたと言っていい。昨シーズン試合に出ていた選手がベンチを温める状況になることが「いい補強ができたか」の判断基準のひとつとなるが、今年の鹿島はほぼすべてのポジションでレギュラー争いが起きるほどの補強をし、リーグとACLを戦う過密日程への対策もできている。

 とりわけ、アルビレックス新潟からレオ・シルバ、ヴィッセル神戸からペドロ・ジュニオールを獲得したことは大きい。彼らの加入によって、鹿島の「個の力」は確実に伸びている。性格が真面目なレオ・シルバがブラジル人選手と日本人選手とをつなぐ役割を果たせれば、昨シーズンのようなチームの一体感を生み出すことも可能だろう。

 唯一の不安はCB陣。ファン・ソッコが中国リーグの天津泰達に移籍し、植田直通と昌子源の代わりを務められる選手が現状では見当たらない。そんな、DF陣の戦力が落ちたところに、韓国Kリーグの全北現代からGKのクォン・スンテが加入したことは心強い。33歳の彼は、国内リーグで2014年から3年連続ベストイレブンに選ばれるなど、実績・経験ともに十分。DF陣とのコミュニケーションが欠かせないポジションではあるが、積極的に日本語を覚え、環境に馴染む努力もしている。

 今年で38歳になる守護神の曽ヶ端準は、昨シーズン終盤こそいいプレーをしていたものの、1年を通して見ると不安定な面もあった。ふたりのどちらが正GKになるにしても、競争が生まれることによる緊張感が、昨シーズン以上の安定感をもたらすに違いない。

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