ゼロックス杯の明暗。上積みあった鹿島と、現状維持が精一杯の浦和 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 常に相手陣内で試合を進めたいという理想の追求は、昨季優勝を逃したチームとしてのあるべき姿ではある。とはいえ、相手に応じた柔軟な対応力も同時に求められてくるはずだ。スピードを備えた選手を前線に擁し、カウンターに特長を持つ鹿島を相手にハイラインを保つことは、やはり危険な賭けだった。

「鹿島はすごく裏を取るのがうまいチームなので、全部が全部、前で取ることは厳しいと思う。もちろん、前で狙うのは最優先ですけど、取られ方が悪いときはみんながいち早く下がらないといけない」(武藤)

「後ろの3枚は同数のほうがいいのか、1枚余らせたほうがいいのか。そこは相手のFWの選手によって判断を変えなければいけない。毎試合毎試合違うと思うので、常に考えながらやっていくことが、うちの選手にとっては大事かなと思います」(遠藤)

 シーズンに向けた調整と考えれば、悪くないトライアルだろう。それでも新たな戦術、新戦力の融合、あるいはポジション適性という側面でも、さしたる上積みは見出せなかった。その意味で、期待よりも不安を抱かせる、2017シーズンの浦和の初陣だった。

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