Jリーグに韓国人GKブーム。日本の「守護神欠乏症」に打つ手はあるか (4ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 とはいえ、ヨーロッパから優秀なGKを日本に呼び寄せるのは容易ではない。そこで各チームが目をつけたのが、お隣韓国のGKだった。韓国Kリーグクラシックでは、ルール上、GKに外国人選手を使えないという事情も手伝って、GKが育ちやすい環境がある。しかも、近年はリーグの人気低迷により選手の年棒が下降気味で、選手の海外志向が高まっている。Jリーグのクラブにとっては、うってつけのターゲットだった。

 こうして、従来通り3つの外国人枠をフィールドプレーヤーに使い、アジア枠をGKに使うというトレンドが完成。需要と供給の関係が見事にマッチしたというわけだ。

 しかしその一方で、この傾向を手放しで喜ぶわけにはいかない事情もある。このままでは、日本人GKが育ちにくい環境に拍車がかかってしまうからだ。

 去年の10月、日本代表のハリルホジッチ監督は、6人の候補選手を招集して3日間のGK特別合宿を行なった。もちろん、たった3日間の合宿でレベルが上がるわけではないが、せめて代表候補のリスト上にいるGKには、危機感と何らかのメッセージを伝えたかったのだろう。

 正GKがチーム数と同じ数だけしか存在しないことをふまえれば、現在の韓国人GKブームと日本人GKの駒不足問題は、まさに表裏一体だ。勝利を求めなければならない各クラブの事情も理解できるが、同時に、日本サッカー界としてこのまま手をこまねいていていいのかという疑問も生まれる。

 事態は、日本サッカー協会が本腰を入れて対策を打たなくてはならないところまできているのかもしれない。

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