「カズさんより先にやめたくない」
小野と稲本の絶大な存在感は衰えず

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 青木一平●撮影 photo by Aoki Ippei

 もちろん戦力としても、ベストコンディションに戻った時の、ピッチ上でのパフォーマンスや存在感に期待が寄せられているだろう。本人たちも、新シーズンのJ1の舞台を楽しみにしている。小野は「自分の持ち味は楽しみながらプレーすること。完璧に治して、そんな姿を見てもらいたいですね」と言い、稲本は「レベルの高いところでやるほうが、サッカーを楽しめるんです。年齢を重ねても成長しているところを見せたい。体力が落ちるのは仕方ないけど、技術や駆け引きなどでそれを示せたらいい」と声を弾ませた。

 ふたりがピッチに立てる状態になるまではまだ時間がかかりそうだが、たとえ全体練習に参加できずとも、周囲への影響力は絶大のようだ。

 今オフにヴィッセル神戸から新加入した28歳の田中雄大は、「子どもの頃にW杯を観ていて、友達と『おい、稲本が点取ったで』とか言っていましたからね。雲の上の存在のような選手と、こうして一緒のチームでやれるだけでもすごく嬉しい」と、憧れの存在との共演を喜ぶ。そして、「稲本さんとは川崎でも一緒にやらせてもらいましたが、球際の強さなどを参考にさせてもらいました。小野さんは天才。キャンプの最初の頃に何人かでチームに分かれた時にご一緒して、すごく話しかけてもらいました。本当にいつも前向きだし、周りを明るくしてくれます」と語った。

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