完成間近だったジュビロの革新的システム、N-BOXが封印された理由 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi

試合日に飛び込んできた衝撃の一報

 その連絡を受けたとき、監督の鈴木政一は、自分の口から選手に伝えることはできないと思った。

「宿泊先のホテルに、強化部長から電話があったんです、クラブ世界選手権が延期になりそうだと。とてもじゃないけど、僕からは言えないと。だから、こっちに来て、選手に直接説明してくださいと頼みました」

 2001年7月28日にスペインで開幕するはずだった第2回クラブ世界選手権が2ヵ月前に突然、延期(のちに中止)となる異常事態は、いったいなぜ起きたのか――。

 原因は、FIFA(国際サッカー連盟)がワールドカップに関するマーケティング事業を委託していたスポーツマーケティング企業「ISL」の経営破綻にあった。

 5月18日にスイスのFIFA本部で開かれた臨時委員会で最終決断が下され、それから数時間が経った日本時間の18日深夜、FIFAが公式ホームページで正式に延期を発表したのである。

 5月19日のコンサドーレ札幌戦に備えて浜松市内のホテルに宿泊していた磐田の選手たちが延期を知ったのは、まさに試合当日の朝だった。

 鈴木秀人は、誰から告げられたのかは覚えていないが、ホテルでのミーティングの際に告げられたことは、はっきりと記憶していた。

「ウソでしょ? って、相当ヘコんだ覚えがあります。僕は代表にそんなに入ってなかったから、レアルのような海外の強豪と真剣勝負がしてみたかったし、スペインにも行ってみたかった。だから、かなりショックでした」

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