「最後までピッチにいたい」。歓喜の裏で小笠原満男が感じていた無念 (7ページ目)

  • 佐野美樹●取材・文・撮影 text&photo by Sano Miki

 確かに、東北では積雪などに左右されることなく、ボールを自由に蹴れる広い環境というのは、まだまだ本当に少ない。でも、東北人魂への寄付と自治体が協力して創設した(岩手県)大船渡のグラウンドが人工芝設置の実現に向けて動いているし、(福島県の)Jヴィレッジも東京五輪に向けて復興を目指している。そうやって環境が整っていけば、東北各地に広い会場ができるので、今後はそれらの場所を転々と渡って、それぞれで大会を展開していってもいいなって思っているんです」

毎年行なっている『東北人魂』の支援活動毎年行なっている『東北人魂』の支援活動 今大会、MVPや得点王に選ばれた子どもたちは、Jリーグの選手が実際に履いたスパイクを直接手渡されて、うれしそうに目を輝かせていた。

「こういう子どもたちに、自分もサッカー選手になって、Jリーグで優勝できるかもっていう夢を持ってもらいたい。実際、オレらのように東北からもそういう選手が出ているんだから『自分も』って思ってもらえたら、うれしいですよね。そのためにも、オレらはまだまだタイトルにこだわって、がんばっていかなきゃいけないって思いますね」

 例年になく短いオフを経て、新シーズンに向けて始動した鹿島アントラーズ。小笠原の、飽くなきタイトルへの毒のように強い欲は、昨シーズン以上に後輩たちを侵食しているはずだ。『ぶっちぎりで優勝したい』という負けず嫌いの思いは、今季のチームをどれぐらい蝕(むしば)んでいくのだろうか。

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