「最後までピッチにいたい」。歓喜の裏で小笠原満男が感じていた無念 (2ページ目)

  • 佐野美樹●取材・文・撮影 text&photo by Sano Miki

「なんか......年齢だけで判断されるのは悔しいじゃないですか。体がもたないでしょ、とか思われるのは。天皇杯の決勝でも、年齢がひとつ下の中村憲剛(川崎フロンターレ)は、最後までピッチでやっているわけだし。いくら最後に力が尽きそうになったとしても、やっぱり他との違いを生み出せるのが憲剛だしさ。でも自分は、そう思われていないわけで......だから悔しいよね」

 やるせない表情が余計にその悔しさを物語る。しかし、そんな小笠原の気持ちとは裏腹に、今後も途中交代や途中出場が増えていく可能性は少なくない。そうした"流れ"は理解しつつも、受け入れられない信念がある。

「どんなときでも(試合の)スタートから出たい。最後までピッチに立っていたい。そんなのはもちろんのこと。その気持ちがなくなったら、選手として終わりだから。『途中からでもいいや』とか、『フル(出場)じゃなくてもいい』とか、そんなことを考え出したら、もう終わりだと思う」

 そして静かに、力強くこう続けた。

「悔しいけど、すべては自分のがんばりでなんとでもなることだから」

 最近は監督やコーチが、小笠原のコンディションなどを考慮して、みんなが10本やる練習を「8本にしておくか?」などと聞いてくることもあるという。だが彼は、いつもその配慮を断り、みんなと同じ本数のメニューに取り組んでいると話す。

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