ジュビロのN-BOXが炸裂した2001年、ライバル鹿島との一戦 (5ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi


 先制点を奪ったのも、鹿島だった。

 4分、ビスマルクがフリーキックをゴール前に蹴り込むと、飛び込んだ鈴木隆行がGKヴァン・ズアムのファンブルを誘い、こぼれたボールをゴールに蹴り込んだ。

 もっとも、鈴木のファウルにも見えたこのゴールは、磐田にとって出会い頭の事故のようなもので、キックオフ直後から優位にゲームを進めていたのは磐田だった。                
                          
「このプレスなんて、すごく今風だよね」

 試合映像を見返す名波がつぶやいたのは、2分のシーンである。磐田の左サイドで奥と服部が小笠原を挟み込むと、画面の中の名波が強烈なタックルを見舞い、ボールを刈り取った。

 8分に名波のクイックリスタートから高原のゴールで同点に追いついた磐田は、攻勢の度合いを強めていく。
                  
 中山や高原がチェイシングしてボールをサイドに誘導すると、左サイドでは奥と服部が、あるいは服部と大岩が敵を囲い込み、そこに名波が加わって瞬く間にボールを回収していく。右サイドでも同様の光景が、藤田と福西、福西と鈴木秀人によって展開された。名波が映像を見ながら解説する。

「挟み込むスイッチはプレスバックする選手の角度を見極めて、どこから寄せたほうがいいのか決めている。それがハマれば、ボールホルダーの選択肢を数個、減らすことができるからね」

5 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る