ジュビロのN-BOXが炸裂した2001年、ライバル鹿島との一戦 (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi


突如として輝いた「N-BOX」

 自陣でパスを受けた鹿島のボランチ、本田泰人が前を向いた瞬間、サックスブルーの襲撃を受ける。かろうじて横パスで回避すると、ボールを預かった名良橋晃もじっくりキープする時間を得られない。前方では柳沢敦と鈴木隆行の2トップがボールをなかなか受けられず、磐田陣内をさまよっていた――。

 4月7日15時4分、3万5221人の観衆が見守るなか、鹿島対磐田の一戦がキックオフの時を迎えた。

磐田vs鹿島のスターティングメンバー graphic by Unno Satoru磐田vs鹿島のスターティングメンバー graphic by Unno Satoru 鹿島のスターティングラインナップは、GK高桑大二朗、DF名良橋晃、秋田豊、ファビアーノ、中田浩二、MF熊谷浩二、本田泰人、小笠原満男、ビスマルク、FW柳沢敦、鈴木隆行。左膝十字靭帯断裂で離脱している相馬直樹の左サイドバックを固定できないでいた鹿島はこの日、ボランチの中田をそのポジションで起用した。

 一方、磐田は、GKアルノ・ヴァン・ズアム、DF鈴木秀人、田中誠、大岩剛、MF福西崇史、服部年宏、名波浩、藤田俊哉、奥大介、FW高原直泰、中山雅史の11人。試行錯誤の末にたどり着いたベスト布陣だった。

 この時点で3連勝中の磐田は首位、鹿島は1勝1分1敗の9位だったが、下馬評では鹿島有利との見方が大勢を占めていた。

 アジアクラブ選手権に参戦中の磐田は3月18日から1週間、インドネシアに遠征したばかり。また、同時期にパリ郊外で行なわれたフランス代表戦に名波と服部が先発出場していた。そうした磐田のコンディション面での不安に加え、リーグ戦での過去の対戦成績は鹿島が11勝3分3敗と大きく勝ち越していたからだ。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る