来冬の高校サッカー選手権へ。「ニューバランスカップ」を西武台が制す (2ページ目)

  • スポルティーバ●文・撮影 text & photo by Sportiva

 互いに5人目まで譲らず、先に西武台の6人目が成功。直後の札幌大谷のキッカーはエースの細川。ピンと張り詰めた空気の中で放たれたシュートはゴール右隅を襲ったが、1年生で唯一のスタメン出場を果たしたGK高麗稜太(1年)がセーブした。その瞬間に西武台の優勝が決まり、高麗を囲む歓喜の輪が広がった。

 西武台の守屋保監督は「16年度は、昌平がインターハイでベスト4、選手権では正智深谷がベスト8と埼玉県勢の強さが目立ちました。全国レベルのチームと戦った経験を活かして、これから埼玉に戻ってからも強くなって全国に戻っていきたいですね」と語る。一方、惜しくも敗れた札幌大谷の丸谷コーチも、「正直、決勝まで来られるとは思っていませんでした。この時期に高いレベルの相手と試合ができたのは大きい。選手たちはみな大きく成長してくれた」と健闘を讃えた。

 選手権予選が終わって2年生中心に生まれ変わったばかりのチームにとって、この大会は初めて経験する全国大会。両指揮官の言葉通り、チームの現状を知り、今後の強化の指標となる絶好の機会だ。実際に、昨年この大会に参加した旭川実高(北海道)、佐野日大高(栃木)、滝川第二(兵庫)、東海大仰星高(大阪)、東邦高(愛知)など、実に10チームが今年の選手権に出場を果たしている。しかも、そのうち東海大仰星と佐野日大は選手権のベスト4だ。

 昨年から「ニューバランスカップ」と名前を変えたが、それまでも「時之栖カップ」という名で開催されてきた大会は、今年で21回目を迎えた。選手権と同時期に行なわれ、大会後に大きく成長を遂げるチームが目立つことで徐々に注目を浴びるようになり、先述のように高校サッカーファンの間で「裏選手権」と呼ばれるようになっている。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る