高校サッカー新時代へ。東海大仰星など
「伏兵校」の台頭にはワケがある

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 とはいえ、取り立ててそれが自分たちのスタイルだと意識しているわけではなかったようで、東海大仰星の中務雅之監督によれば、「大事なのは、現代サッカーに求められるものは何か、ということ」。当たり前のことを当たり前に身につけた結果、それが自分たちの武器になっていたということだろう。

 決して「爆発的な力を持つ選手がいるわけではない」(中務監督)チームが準決勝まで進めたのは、まさに現代サッカーに不可欠な要素、ハードワークができたからに他ならない。

 こうした傾向は、何も上位に進出する強豪校や、選手権に何回も出場している常連校に限って見られたものではない。

 実際に取材したなかで印象に残っているのは、1回戦で鹿児島城西(鹿児島県)に敗れた北陸(福井県)である。試合開始わずか6分でFKから先制点を許して敗れはしたが、その後の積極的な戦いぶりは実に好感が持てるものだった。

 ショートパスを主体に縦へ速くボールを運び、ボールを失っても守備への切り替えを速くして高い位置で奪い返す。ボールを奪いにいったときには、互いに「取り切れ!」と声をかけ合い、しっかりと奪い切ることもできていた。

 その結果、かなりの時間、敵陣で攻守を繰り返すことができていたのである。

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