震災を乗り越えて。ロアッソ熊本の選手が集う店は「実家にいる気分」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 しかしクラブハウスができるようになっても、気がつくと何人かの選手やスタッフが足を向けている。おいしくて安い。それもひとつの理由だろう。もうひとつ大事なこと。居心地がいいのだ。

北嶋秀朗が考案した「39オーレ」北嶋秀朗が考案した「39オーレ」<実家でくつろいでいる気分>

 これは選手たちの弁である。

 その『グルメ』も昨年は被災した。4月、熊本では益城町を震源にM7.3、震度7の地震が起きた。県内を走る断層帯が連なって動き、前震でどうにか耐えていた家屋も本震で壊滅的な損傷を受けた。50人が亡くなり、1500人近い負傷者、そして約20万人の避難者を出すことになった。

 自然の猛威は残忍で少しの容赦もなく、県民は忍従を強いられた。ロアッソ関係者も、選手を含めて被災している。避難所で車中泊をする選手が何人かいて、ロアッソはクラブ活動を一旦休止。それでも選手たちは気丈に言い放った。

「できないことを成し遂げることで、県民に元気を与えたい」

 J1昇格に向け、士気を高めていた。

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