佐野日大、あっぱれベスト4。前橋育英は「史上最悪の代」で初戴冠へ (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 残り15分、5−4−1のシステムを崩し、4−4−2とも4−3−3とも言える攻撃的な布陣を敷いて、最後の攻勢を仕掛けていく。最前線に上がった長崎や途中出場のFW本石捺(3年)が果敢に仕掛け、今大会無失点を続ける前橋育英の守備陣を慌てさせる。最後は長身DFの原悠斗(3年)を最前線に置くパワープレーを敢行するも、ついにゴールを奪うことができず、佐野日大の挑戦はベスト4で終わった。

「引いて守るだけではないところを示したかった。意地を見せたかった」と、試合後に指揮官が涙ながらに語ったように、勝つために守備に徹したサッカーは本来、目指したスタイルではなかったのかもしれない。選手たちに無理強いしたという想いもあったのだろう。しかし、選手たちは決して監督の決断を否定してはいない。福田は全員の想いを代弁する。

「この守備的サッカーを信じてやってきて、ここまでこられた。今はやり切ったというか、満足感しかないので、後悔はまったくありません」

 やらされていたわけではなく、選手たちの意思でやり抜き、そして全国ベスト4を勝ち取ったのだ。彼らが今大会で示したパフォーマンスは、十分に誇れるものだった。

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