伏兵を一蹴し決勝へ。同じ優勝候補でも青森山田は東福岡と何が違ったか (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 あるいは、GK廣末陸(3年)のロングフィード。60mもの距離をあれだけ低く速い弾道で、しかも正確にターゲットに届けられるキックは、間違いなく高校生レベルを超えている。

「東福岡はDFラインでのボールの回し方もわかっていたので(プレスを)ハメやすかったが、青森山田は前からハメようとしてもGKに蹴られてしまうのでハメどころがなく、FWも(プレスに)行きづらかった。廣末選手のロングキックはわかってはいたが、あれがプロに行く選手(の実力)なんだなと思った」

 東海大仰星のキャプテン、MF松井修二(3年)がそう嘆いていたが、どんなに前線からプレスをかけようとも、最後はGKのロングキックで逃げられるばかりか、しかもそのボールをヘディングで落とされて、瞬く間に危ういピンチを招いてしまう。これではさすがの東海大仰星も、やみくもにプレスをかけるわけにはいかなかった。

 攻撃の多彩さという点で、青森山田は東福岡よりも一枚上だったことは間違いない。だからこそ、相手の勢いを止めることができた。東海大仰星の中務雅之監督が「ファイナルへ進むためには、いろんなものが備わっていなといけないということを学ばせてもらった」と話していたが、まさにその言葉どおりの内容だったのではないだろうか。

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