福田正博が提言。日本に合ったサッカー構築へ、代表監督の任期を見直せ (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO


 そもそも、堅守速攻というスタイルは本当に「日本代表らしいサッカー」なのだろうか。このスタイルで求められる能力は「フィジカルの強さ」と「スピード」で、世界の強豪国と比べて日本代表が最も劣る部分である。そこを伸ばして上回ることよりも、日本人が得意とすることを武器にするスタイルを模索するほうが、現実的かつ継続性の高い強化策ではないかと私は思う。

 海外組が増え、代表チームの活動時間が少なくなるなかで「日本人らしさを活かしたスタイル」を構築するためには、日本サッカーの抱える課題や問題を正しく認識し、長期的ビジョンで強化を行なえる指導者に代表チームを託すべきではないか。もちろん、最初から8年という期間を任せるのではなく、例えば2年ごとに手腕を評価しながら判断していけばいい。

 代表監督の任期が4年しかなければ、W杯の予選と本戦だけに目が向き、下の世代の育成まで気が回らないのは当然ともいえる。なぜなら、彼らが監督として次の職を探す時に、W杯本戦での結果に優る実績はないからだ。

 しかし、レーヴ監督やオルセン監督がそうであるように、監督の任期がW杯以降も続くとなれば、代表監督はその先を見据え、直近のW杯には関与しない若い世代まで目を配ることも必要となる。

 選手からしても、4年ごとに監督が交代して戦術や戦略が刷新されると、そのたびにゼロから再構築しなければならない。だが、ひとりの監督が長期間にわたって指揮を執れば、戦術の理解度はさらに高まる。4年ごとにリセットされるのと比べ、チームの成熟度に大きな差が生まれることになる。

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