福田正博が提言。日本に合ったサッカー構築へ、代表監督の任期を見直せ (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO


 スケジュールの過密化が進む今のサッカー界において、代表強化に割ける時間はとても少ない。クラブであれば、選手が毎日のように顔を合わせるのでコミュニケーションを深めることはできるが、年間を通じて十数日の試合のためにしか全メンバーが集まらない代表では不可能だ。そのため、多くの国の代表チームは組織力で勝負することを避け、攻撃では個の力に頼る堅守速攻のスタイルを採らざるを得ない側面がある。

 ハリルホジッチ監督就任後の日本代表は、「縦に速いサッカー」を標榜している。これはW杯ブラジル大会を分析した日本サッカー協会がはじき出した「世界のトレンド」でもあるが、日本代表がこうしたスタイルを取るのには、海外組の選手が増えたことが関係している。

 日本代表に海外組が少なかったオシム監督の時代は、リーグ戦の合間に国内組だけで合宿を張り、代表チームの強化に時間を割くことが今よりもできていた。その結果、組織力を高め、連携を深めることで、2人目、3人目の動きを生かしながら、ダイナミックにボールと人が動くサッカーを実践することができた。

 現在、ハリルホジッチ監督も国内組だけの合宿を行なってはいるものの、代表の主力選手のほとんどが海外組という状況では、国内合宿がチーム全体の組織力、連携力の向上につながっていないのが現実だ。

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