高松大樹の忘れられない光景。「ゴール裏を見たとき、本当に鳥肌が立った」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Sportiva

 とりわけ、大分トリニータというクラブに対する高松の意識が変わったのは、2008年にキャプテンに就任してからだという。それまではストライカーらしく、エゴイスティックな部分はあったが、キャプテンという責任を背負ってからは、チームを第一に考えるようになった。

「FWだけど、僕はゴールだけを考えてやっていなかった。身体を張って、起点になって、チームメイトを助けてあげたいという気持ちが強かった。チームのために身体を張ることを意識してやっていたから、ケガが多かったのもありますけど。ベストゲームを聞かれても、これといった試合は思い出せませんが、毎試合、毎試合、チームのために戦ってきた。その部分だけは胸を張って言うことができると思います」

 J2から始まった高松のキャリアは、J1昇格、J2降格、J1再昇格、そしてふたたびJ2降格、さらにJ3にまで転落し、最後にJ2に戻ってきた。これほどまでの浮き沈みを経験した選手は、おそらく高松だけだろう。 

「たしかにJ1、J2、J3すべてを経験している人は珍しいでしょうね。まあ、経験したくはないですけど(笑)。ひとつのクラブでそれを経験したのは、僕くらいじゃないですかね。普通は降格したら、みんな移籍しますから。なんですかね、このサッカー人生(笑)。でも、嫌でやっているわけではなかったし、やっぱり大分でサッカーをやれる喜びがあったのかな。ベースにあるのは、『トリニータのために』。その想いだけですね」

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