川崎が初タイトルへ。このメンバー最後の試合で鹿島にリベンジなるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 潮目が変わったのは、61分。ケガから復帰したばかりで「長い時間は使えない」(風間監督)というMF大島僚太の途中出場だった。大宮の渋谷洋樹監督が語る。

「(大宮は)もう少しボールを持てばいいのに、前にスペースがあるからと前に(攻めに)行ってしまう。もっとゲームを落ち着かせてコントロールしなければいけなかった。そこは川崎が一枚上手。大島選手が入って、ボールを持って落ち着かせられるようになった」

 徐々に攻撃の回数を増やし、際どいシュートシーンを作れるようになった川崎は85分、コーナーキックから最後はDF谷口彰悟が押し込み、ついに先制。虎の子の1点を最後まで守り抜き、食い下がる大宮を退けた。

 川崎のキャプテン、MF中村憲剛は「なかなかリズムをつかめなかった」と苦戦を認めつつも、充実感を漂わせて語った。

「こういう拮抗した試合ではセットプレーが大事。しぶとい勝ち方ができるようになってきた。ボールを保持して攻め続ける試合をやりたかったが、それができない時でも焦らずに我慢して踏みとどまれたのは、この試合に勝ちたいという気持ちがあったから。その強い思いが出ていた」

 値千金のゴールを決めた殊勲の谷口もまた、「うちらしくない勝ち方だったが、こういう勝ち方もできるようになったのは成長だと思う」と手応えを口にした。

 川崎にとっては、これが天皇杯で初の決勝進出。と同時に、クラブ初のタイトル獲得へ、ついに王手となった。

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