17歳で日本代表・市川大祐の回顧「初の日韓戦で息苦しさを感じた」 (4ページ目)

  • 望月文夫●取材・構成 text by Mochizuki Fumio
  • 長江由美子●撮影 photo by Nagae Yumiko

「異常な雰囲気は感じていましたけど、トップチームでの経験もほぼなくて、日本代表のイメージなんてまったくない状態でしたから、何も考える余裕はなかったですね。ただ目の前のことに一生懸命取り組むだけ、それが精一杯でした。

 はっきり言って、トップチームや代表のスタンダードが何なのかもわからない中で、報道の過熱ぶりに戸惑いながらも、それに何とか対応し、練習して試合に臨むだけでした。確かに異様なものも感じていたのですが、どこにも何も言わなかったですね。というより、言えなかったのかもしれません。それ以前に、いろいろなことを深く考える時間がなかったことも事実です」

――そうして、1998年4月1日のアウェーで行なわれた日韓戦で、早くも日本代表デビューを飾りました。計り知れないプレッシャーもあったかと思うのですが。

「日韓戦は特別なものだとわかっていましたけど、何より自分が先発することが驚きでした。スタジアムに向かうバスの中で、すでに息苦しさを感じていましたから。スタジアムに着いたら、スタンドは相手サポーターで埋め尽くされていて、気温はわずか5度。体が震えるというか、何も耳に入らないような緊張状態でした。そんな自分に、岡田武史監督は『失敗しても何も失うものはない。気軽にやれ』と。そのひと言に救われました」

――その試合でフル出場。注目度はさらに増しました。クラブは新しい運営会社が引き継いだばかりで、取材対応も大変だったのではないですか。

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