エースの造反。チームの混乱。それでも
ジュビロがJ1に残留できたわけ

  • 浅田真樹●構成 text by Asada Masaki
  • 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan sports/AFLO

――中断期間が明けて、最初に対戦したのが残留争いのライバル、名古屋グランパスでした。

「残留できた要因として、ひとつの試合を挙げるなら、やっぱり名古屋戦の引き分けが一番大きい。名古屋は2連勝してうちとの対戦だったので、そのまま翌週に試合をやりたかったはずです。うちにとっての3週間と、名古屋にとっての3週間は、全然違う意味があったと思います」

――続く浦和レッズ戦では敗れ、J1残留を確定できないまま、最終節のベガルタ仙台戦を迎えました。

「降格の可能性があるチームの中では、うちだけ最終節がアウェー戦だったんですが、残留するための数字的な条件は圧倒的に有利でした。ゆえに、前からガツガツいって、というのではなく、バランスを重視して守備から入ったほうがいいのかなと考え、最初は違うメンバーを仙台戦の先発に考えていました」

――守備的に試合を進め、最低でも勝ち点1を取ってJ1残留を自力で確定させる、と。

「そうです。FWアダイウトンも外すつもりで、本人にも理由を含めて話をしましたし、キャプテンの上田康太にも、結果的に彼がFKを決めて仙台戦に勝つんですけど、外す予定でした」

――なぜ、それを変えたのですか。

「あの試合は前々泊で仙台に入って、前日練習を向こうでやりました。遠征先で前日練習をするときは、たいてい自分は特に練習も見ないで、ジョギングをしているのですが、そのとき『やっぱり攻撃的にいこう』って決めました」

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