ユース年代の頂点に立った青森山田。悲願の高校選手権との2冠はあるか (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 だが、いい形でペナルティーエリアに進入する場面はほとんどなく、ゴールが生まれる可能性は感じられなかった。青森山田のキャプテン、MF住永翔(すみなが・かける)は「相手がボールを持つ時間が長かったが、チーム全体で『ゴールを守り抜こう』と声を掛けていた」と振り返る。

 青森山田を率いる黒田剛監督も、粘り強く戦い抜いた選手たちを称え、こう語る。

「守備だけは負けない。絶対に失点しない。ゴールを隠し、シュートを打たせない。ずっとやってきたことを、選手たちは貫いてくれた。ワンプレーたりともサボらず、最後まで体を張り続けてくれた」

 結局、試合は規定の90分を超え、10分ハーフの延長戦を加えた110分間を戦い終えても、両チーム無得点のまま、PK戦に突入した。シュート数は広島が9本、青森山田が4本。この試合がいかに手堅い試合だったかを、数字も証明している。

 結果論であることを承知で言えば、PK戦に結末が委ねられた時点で青森山田に分があった。負ければ終わりのトーナメント戦を日常とする高校のチームのほうが、PK戦に対する意識は間違いなく高い。黒田監督は言う。

「PKを外さないための戦略、やり方はある。この3、4日は徹底してそれをやらせた」

 実際、選手それぞれのキックを見ても、青森山田のほうが明らかに"PK慣れ"していた。

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