なぜか失点しない鹿島。神がかった「勝負強さ」で初のクラブW杯決勝へ (2ページ目)

  • 浅田真樹●文text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影photo by Sano Miki


 それは取材する報道陣も同様だった。コロンビアからやってきたラジオ局の記者からは、盛んに時差や慣れない環境を不安視する質問が飛んでいた。

「これまでの経験からいっても、時差は大きなファクター。選手のパフォーマンスに大きく影響する。ドクターとも相談し、時差の影響を最小限に抑えたい」

 ルエダ監督がそう話し、気を引き締めて臨んだ一戦は、実際、アトレティコが鹿島を圧倒した。

 とりわけ強力だったのは、右サイドにポジションを取るFWオルランド・ベリオ。対峙した鹿島の左サイドバック、山本脩斗は「スピードと強さにはインパクトがあった」と振り返る。鹿島は左サイドを中心に攻め込まれ、次々にピンチを迎えた。

 J1王者を叩きつぶさんばかりに、試合序盤から攻め立てる南米王者からは、過信や油断は微塵も感じられなかった。ゴール前ギリギリのところで、どうにか相手の攻撃を防いでいる状態の鹿島。失点は時間の問題かに思われた。

 だがしかし、皮肉なことに、あまりに圧倒的だった試合内容が、逆にアトレティコに油断を生じさせたのかもしれない。中盤で攻撃の組み立て役を担ったMFマテウス・ウリベは語る。

「今日の試合は90分間、全力でプレーしなければいけなかった。チャンスが何回あっても、それを決めなくては意味がない」

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