浦和レッズの敗戦を「他山の石」に。J2残留に成功のツエーゲン金沢 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 共同通信●写真 photo by KYODO

 1-0とリードして折り返すことになった後半になっても、金沢は警戒を怠っていない。

 一方、栃木にも劣勢挽回の機会が残されていた。彼らは逆に、鹿島のような逆転劇が狙いだった。後半の入り方は悪くない。例えばMF宮崎泰右が右から中に切り込み、ゴール前に浮き玉のパスを入れる。突っ込んだFWの足先をかすめて流れてしまったが、スタンドの一角がどよめく好機を作っていた。

 ところが、栃木は56分、58分に立て続けに選手を入れ替え、攻撃の流れを閉ざしてしまう。そして69分、マークが甘く左サイドを崩され、虚を突かれる形になった。中央でDFが棒立ちになり、抜群のタイミングで入ってきた中美に再びゴールを奪われた。

「後半は栃木が得点を取る最大値を考えて、調整(選手、ポジション交代)しました。ですが、結果的にバランスを崩すことになってしまって。オープンな展開になったところで、失点しました。その流れは、今年を象徴していたかもしれません」

 栃木の横山雄次監督は視線を落として言った。栃木2列目にボールが入らず、動きの少ない前線に雑に蹴り込むだけ。高さのあるトップにクロスを送り込む交代だったが、オートマチズムは作られていなかった。J3でも16チーム中7位だった得点力が如実に出て、練度の低さと技術の乏しさを露呈した。

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