年間3位からJ王者へ。アントラーズとレッズとは何が違ったか (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 柴崎は「選手が変わってもこれだけ勝てるのは、チームがしっかりしている証だと思う」と言い、昌子は「ソガさん(GK曽ヶ端準)と満男さんのふたりの存在がデカい。この人たちについていけば、優勝できると思わせる背中を見せてくれる」と、常勝軍団が持つ伝統の強みを口にする。

 セカンドステージの最後を4連敗で終えながら、勝たなければいけない試合、すなわち勝てば優勝できる試合では、少々不利な条件も覆して勝ってしまう。勝ち慣れたクラブの底力を思い知らされるような試合だった。石井監督は、鹿島の強さの理由に「クラブ全体が持つタイトルに対する執着心」を挙げ、こう語る。

「長い間、J1のタイトルを獲れず、タイトルを獲ることを義務づけられて始まったシーズン。それが、実現できて本当にうれしい」

 とはいえ、試合後の取材エリアには、心底優勝を喜ぶ笑顔も、弾むような声もほとんどなかった。例年の優勝決定試合とはまったく異なる、不思議な雰囲気があった。柴崎は取材エリアに現れると、開口一番、こう語った。

「大会のレギュレーションに対しては、どうかな? という部分がある。(年間勝ち点1位での)完全優勝でないという気持ちと、ルールに則って勝ったんだという気持ちが半々。川崎と浦和への敬意も忘れてはいけないし、試合が終わったときは、そういう思いが交錯した」

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