年間3位からJ王者へ。アントラーズとレッズとは何が違ったか (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 対する浦和の側に立てば、ここが鹿島にプレッシャーをかけるチャンスだった。2点目を先に奪うことができれば、鹿島に相当なダメージを与えられたはずだ。

 ところが、実際はそうはならなかった。先制されても意に介すことなく戦えた鹿島の一方で、浦和はいくつかのチャンスがありながら追加点を奪えないことで、徐々にリズムを悪くしていった。

 そして前半40分、何でもないロングボールをきっかけに生まれた、鹿島の同点ゴール。鹿島の選手たちが「0-1のまま、前半が終わると苦しかった」(DF昌子源)、「前半に取れた1点が非常に大きかった」(MF柴崎岳)と口をそろえた、この試合の勝敗を分ける重要なゴールである。

 これで試合は、完全に「試合前の理屈」通りに動き出した。鹿島の石井正忠監督が語る。

「同点に追いついたことによって、浦和にプレッシャーがかかった。特に後半に入ってからは、前半のような勢いがなくなった」

 試合の流れは鹿島。そんななか、このまま1-1で終われば、優勝が決まる浦和は次第に意識が守備へと傾く。浦和のDF槙野智章は「後半に入っても攻撃に出たが、時間とともに守備的になっていった」と認める。

 はたして後半の79分、鹿島の決勝点が生まれる。

 浦和の守備陣の乱れから、途中交代で入った鹿島のMF鈴木優磨に独走され、最後は槙野が後ろから倒してPKを献上。これをFW金崎夢生が難なく決めた。

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