勝負に徹した「まるで鹿島のような浦和」。鉄壁の守備でJ1優勝に王手 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「相手の攻撃をコントロールできた。ただ、我々の攻撃がうまくいかなかったという印象も受ける」

 攻撃サッカーを標榜するペトロヴィッチ監督にとっては、おそらく納得のいかない戦いだっただろう。57分にPKで先制したものの、後半もパスをつなぎながらギャップを生み出す浦和らしい攻撃はついに見られなかった。

 もっともこの日の浦和は、1点あれば十分だった。先制して以降、圧力を増した相手に押し込まれる時間が増え、なかば強引にゴールに迫る鹿島に後半だけで11本のシュートを打たれたものの、やられたと思われた場面は51分のMF遠藤康の決定機のみ。球際の争いでの激しさは衰えず、最後の場面で身体を張り続け、90分を通して高い守備意識を保ち続けた。

 象徴的だったのは、88分の場面。MF関根貴大の横パスが永木に奪われ、一気にカウンターを浴びてしまう。そのとき、右サイドに飛び出したDF西大伍に対応したのは、最前線にいたはずのMF李忠成だった。

「試合前に、前線の3人が最終ラインまで下がって守備をする場面が何度かあると思うけど、そこはがんばってほしいと伝えました。攻撃だけじゃなく、守備のところも彼らががんばってくれた」

 槙野がそう振り返ったように、守備陣だけでなく攻撃陣にも備わった守備意識の高さこそが、この日の勝利の最大の要因となったのだ。

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