佐藤寿人が語る「広島愛」。ではなぜ名古屋への移籍を決断したのか? (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 自分自身でも、キャリアの終盤を迎えつつあることを受け入れようとしていた。そんなときだった。佐藤のもとに、名古屋グランパスからオファーが届いたのは......。

「正直、最初は驚きました。まさか自分にオファーが来るとは思ってもいなかったので......。ありがたいお話だなとは思いましたけど、そもそも僕は広島を離れるという考えを持ち合わせていなかった。ただ、話を聞かせてもらったら、名古屋の熱意をすごく感じましたし、何より一番うれしかったのは、戦力として見てくれているということでした。『ピッチの上で、選手としてまだまだできることを証明してほしい』と言われたんです」

 その言葉に、佐藤自身もハッと気づかされた。自分自身で、自分の可能性にフタをしていたのではないかと。それでも最初は、「割合でいえば、残留が90%で、移籍が10%」だったというが、自問自答するなかで、今一度、自分自身を見つめ直した。

「僕のなかでは、まだまだピッチの上でできるという思いも強く持っていたし、選手だからピッチの上での結果がすべてだという思いもあった。言ってしまえば、これまで自分が決めてきたゴールはすべて過去のもの。今シーズンもずっと、いかにゴールを決められるかを考えながらやってきましたし、その気持ちはこれからも変わらない。

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