松本山雅、プレーオフ敗退。あとわずかで「痛恨の失点」はなぜ起きたか (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 共同通信●写真 photo by KYODO

 後半アディショナルタイム、パウリーニョは矢島慎也に入ったボールに挑むが、思った以上に後方にいて間に合わず、入れ替わられてしまう。これでバックラインは無防備になり、浮き球を通され、豊川雄太に頭で中央に折り返される。瞬間、DF飯田真輝はボールに反応して左に動き、赤嶺をフリーにしてしまった。GKは飛び出したが、ボールの軌道と逆へ流し込まれた。

 松本は不運だった、とも言える。反町監督は三島康平を投入し、高さ対策も講じていた。しかし受け身だった。事故が起きる可能性は、確実に増していた。

「(昇格できなかったのは)何かが足りなかった」

 松本の田中隼磨は、そのフレーズを繰り返していた。何か、を明示するのは難しい。プレーオフの一発勝負で1年間が水泡に帰す、そのやり切れなさは現場の人間にしか分からないだろう。

 しかし、昇格プレーオフで3位が6位に敗れるケースは珍しくない。日本では一昨季の6位モンテディオ山形、2012年の6位大分トリニータの昇格がそうだが、リーガエスパニョーラでも、昨季は鈴木大輔が所属する3位ヒムナスティック・タラゴナが6位オサスナに敗れている。

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