等々力の空に響いた大久保嘉人の叱責。フロンターレは真骨頂を示せず (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 2万4000人の大観衆を集めたホーム、等々力でのチャンピオンシップ準決勝。1発勝負のサバイバルマッチで、川崎Fは鹿島に0-1と敗戦した。年間2位チームとしてこのチャンピンシップに臨んだ川崎Fは、引き分けでも浦和レッズが待ち受けるファイナルに進出できたが、50分にFW金崎夢生に先制ゴールを許すと、その1点を取り返せず、またしても初タイトル獲得の悲願を成就できなかった。

 試合後、風間八宏監督は思いのほか、淡々としていた。

「入らないときは入らないなというゲームだと思います」

 穏やかな表情でそう語り始めた指揮官は、よどみなく言葉を続ける。

「自分が初めに来たときから比べれば強いチームになったと自覚していますし、今までアントラーズとやったリーグ戦とは違う内容だった。そういう意味では、すごくたくましくなったなと。今日の試合は負けてしまいましたけど、決してすべての面で敗者だと思いません。すばらしい戦いをしてくれた敗者だと思います」と、選手たちの戦いぶりを称えた。

 たしかに、川崎Fが鹿島を押し込んだのは間違いない。しかし、この日の川崎Fには"らしさ"がなかったのも事実だろう。前半は鹿島のハイプレッシャーの前に持ち前のパスワークを封じられると、1点のビハインドを負ってからはポゼッションこそ高まったものの、後方を固める鹿島の守備網を崩し切る術を欠いた。

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