一発勝負のCS準決勝。川崎Fと鹿島が抱えるそれぞれの不安材料 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 今季かぎりで退任する風間八宏体制の集大成、そしてクラブ創立20周年と、川崎Fが初タイトルを獲得するための舞台装置は整っている。とはいえ、それを実現するだけの説得力を欠いている。そう言わざるを得ないのが、川崎Fの現状だろう。

 一方で、タイトルのかかった試合では無類の強さを発揮するのが鹿島だ。国内3大タイトル17冠の実績はやはり伊達でなく、その多くを経験しているMF小笠原満男、GK曽ヶ端準のベテランふたりの存在も心強い。勝ち方を知るチームなだけに、この大一番でもしたたかに試合を運んでいくはずだ。

 ただ、鹿島にも不安が付きまとう。1stステージで優勝を果たしながら、2ndステージでは失速して11位に沈んだ。しかも、シーズンを4連敗で終えるという、不甲斐ない戦いぶりだった。失速の原因は、やはり失点の多さに尽きる。1stステージではわずか10失点だったのに対し、2ndステージは24失点と倍以上に膨れ上がった。もともと堅守のチームがそれを見失ったのだから、低迷も当然だろう。

 希望を見出すとすれば、直近の天皇杯でヴィッセル神戸に勝利したこと。久しく味わっていなかった勝利の喜びが、好転のキッカケとなるかどうか。引き分けでは上がれないレギュレーションも、開き直りを促(うなが)すという意味では、プラスに働くかもしれない。いずれにせよ、守備こそが鹿島の戦いの肝であり、ここをいかに整えるかが、最重要課題となるはずだ。

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