清水エスパルスが危機的状況からJ1昇格を果たした「大逆転」の真相 (2ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan sports/AFLO

 その後もなかなか波に乗れず、第6節で守護神のGK西部洋平が負傷により戦列を離れると、第13節の徳島戦、第14節の東京ヴェルディ戦では初の連敗を喫した。その時点でも5勝4分け5敗で、順位は10位のまま。首位を走る札幌との勝ち点差は「10」に広がって、チームは早くも窮地に追い込まれた。

 だが、そこでチームに強い危機感が生まれた。それが、徐々に追い風に変わっていく。

 初の連敗後、離脱中のGK西部が「チームがひとつになることが大事」とチームメイトに声をかけ、練習後のピッチ上で選手だけの青空ミーティングを実施した。そこで、攻守の約束事を再確認し、選手みんなで一丸となって戦っていこうと決意を固めた。

 すると、直後のザスパクサツ群馬戦(第15節)では、J2タイ記録となる8ゴールを量産して大勝。守備でも9戦ぶりに無失点で抑えて、下を向きかけていた選手たちに自信がよみがえった。

 息を吹き返したチームは、もはやそう簡単には崩れなくなった。第17節の町田ゼルビア戦では、得点ランキングトップを走っていたエースストライカーの大前元紀が負傷。そこから長期離脱を余儀なくされたが、そのピンチにも大前の穴埋めを期待された若手選手が奮起した。

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