胸を張る松本山雅・反町監督。3位で終戦も昇格プレーオフに自信あり (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan sports/AFLO

 しかしこのPKが、前節の「罪滅ぼし」だったとしたら、皮肉な話だ。町田ゼルビア戦(2-1で敗戦)、松本は後半に猛攻を仕掛け、2度もPKに至る好機を作った。ところが、どちらもPKの笛は鳴っていない。

「この前のがPKにならず、今日のがPKになるわけだから不思議だよね。あえて言うけど、Jリーグからは『2つともPKだった』という回答が来ました。一つのジャッジで、クラブに関わる人たちの人生が変わってしまうんです」

 反町監督はトーンを抑えたものの、心情を吐露していた。もし2つがPKで入っていたら。「たら、れば」に意味がないとわかっていても、口惜しさは募る。なぜなら町田に勝っていたら、最終節は引き分けでもよかった。

 帳尻を合わせるジャッジが横行するなら、それはフェアではない。横浜FCの失点は、またどこかに罪滅ぼしさせるのか? さらに言えば、前節でPKのシミュレーションをとられた石原崇兆は累積警告で出場停止のまま。もし「PKがあった」と謝罪するなら、少なくともカードは取り消すべきだろう。欧州のトップリーグで、その手の訂正は常識である。

 ともあれ、松本は敢然と戦いを挑んだ。轟々(ごうごう)とした歓声がやまない。スタンドの熱気が渦になって、選手の体を突き動かす。そして運命的に得点が決まる。50分、工藤がダイレクトで左サイドに流れた高崎へ出すと、高崎は飛び込んできたDFと入れ替わり、中に切り込んで右隅へ流し込んだ。

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