福田正博のJリーグCS展望。浦和は「本物のプレッシャー」に勝てるか (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • Photo by Getty Images


 昨年までの浦和は、優勝争いのプレッシャーが増大するシーズン終盤に試合を取りこぼしてタイトルを逃してきた。今年はルヴァンカップを制したが、リーグ戦とカップ戦ではタイトルの重みが異なり、完全にプレッシャーを克服したとはいえない。今シーズンは年間1位の座を守り抜いたものの、最終節でガンバ大阪が川崎Fを破ったことで転がり込んできたという事実は見落とせない。

 それでも浦和は、これまで味わってきた屈辱を晴らすためには申し分のないメンバーが揃っている。特に攻撃陣は、チームの核である柏木陽介をはじめ、共に突破力がある左サイドの関根貴大と右サイドの駒井善成、あのズラタンをベンチスタートに追いやるほどに成長した高木俊幸と層が厚い。交代要員も、MFの青木拓矢やFWの李忠成など頼もしい顔が控えている。

 ホームの埼玉スタジアム2002で行なわれる決勝の第2戦は、多くのレッズサポーターでスタンドは埋まるだろう。その中で浦和の選手たちは、その期待を真正面から受け止めたうえで勝利してこそ、プレッシャーに打ち克ったといえるのではないか。

 私自身は、「常に勝たなくてはいけない」というプレッシャーにさらされ続け、それを乗り越える力のある選手がいてこそ、日本サッカーと日本代表のレベルが上がっていくと考えている。浦和、川崎、鹿島の選手たちは、このチャンピオンシップでの優勝争いの経験を活かしていってほしい。

 来シーズンからは1シーズン制に戻るため、現行スタイルで王者が決まるのは今年で最後となる。今年12月のクラブワールドカップへの出場権もかかっているこの戦い。3強のどこが超短期決戦を制し、栄冠を手にするのか、チャンピオンシップの3試合すべてに注目している。

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