札幌のJ1昇格をグッと引き寄せた、熱いハートと終了間際の劇的ゴール (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 たとえば、同点ゴールをもたらしたセットプレー。「苦しかったけど、僕らはセットプレーが武器でもある。苦しいときはそれで勝ってきた。そういう意味では、自分たちらしさがしっかり出せた」と、内村は振り返る。

 さらに、押し込まれながらも2点目を奪われなかった守備の堅牢さも本来の札幌の姿であり、少ないチャンスをモノにする前線(内村)の決定機の高さも、この日の札幌には備わっていた。また、圧倒的な強さを誇ったホームゲームのような雰囲気も後押しした。昇格を待ちわびる多くのサポーターが詰めかけたアウェーゴール裏の声量は、数で勝(まさ)る千葉サポーターのそれを、はるかに凌駕していた。ここにも間違いなく、熱いハートがあった。

 清水が勝ったために今節での昇格はお預けとなったが、残り1試合で勝ち点1さえ積み上げられれば、J1昇格が決定する。一方で敗戦を喫すれば、3位に転落し、プレーオフに回る可能性もまだ残される。予断を許さない状況にあることには変わりないものの、この劇的な勝ちっぷりは、昇格するチームにつきものの「神がかり的」要素であり、ふたたび運命のかかる試合となる最終節に向け、札幌のハートを刺激するファクターとなったはずだ。

 札幌の最終節の対戦相手は、最下位に沈むツエーゲン金沢。崖っぷちに立たされた彼らもまた、何かがかかった試合となる。

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