「優勝の夢が消えたレッズ戦」。豊田陽平と振り返るサガン鳥栖の今季 (3ページ目)
沈黙は金だろうか。
<敗北を受け入れるな! 勝利に執着せよ! さもなくば、ピッチに立つ資格はない!!>
そのメッセージを、言葉でなく肌で感じさせようとしたのかもしれない。
もっとも、直接的に怒号が飛ぶこともあった。
「こんな結果を残せないチームは初めてだ。なにも感じないのか? おまえたちは勝負に甘すぎる!」
選手に緊張感を与える。イタリア人指揮官はそれが務めと弁(わきま)えている。ミーティングでは、1時間も戦術論をまくし立てることも少なくない。厳しい練習が伝統のチームにおいて、かつてないほどの規律と量のトレーニングを課してきた。
<サッカー選手として毎日を生きる>
指揮官は、それを根本から選手に問い直した。その効果だろうか、戦闘意欲を高めたセカンドステージは優勝争いに加わった。
しかし浦和戦では、影を潜めていた甘さが再び顔を出した。
「結局はまだ甘いところがあるということですね」
豊田はそう言って、シーズンを総括した。浦和に敗れた後の4試合、勝ち取ったポイントはわずか1。完全に失速した。
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