闘莉王も呆然。グランパス史上初のJ2降格は、やはり「必然」だった (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki YUTAKA/アフロスポーツ●写真

 ジュロヴスキー監督は0-2とされたハーフタイムに叱咤を飛ばし、3バックに変更するなどテコ入れをしたが、大きく戦況は変わらない。後半50分、CKからニアで倒されたプレーでPKが与えられ、これをシモビッチが蹴り込み、1点差に迫ったが、攻撃は単発。高さに頼ったパワープレー一辺倒だった。

 湘南はブラジル人センターバック、アンドレ・バイアがラインを操り、攻撃の自由を与えない。そして名古屋の焦りを誘発。後半60分、山田が闘莉王からボールを奪い、左ゴールライン付近から3点目。普段なら決まらない角度だが、これも時の勢いだろうか。

 終盤、名古屋はFW川又堅碁を投入し、闘莉王を前線に上げ、パワープレーの色合いを強めたが、1-3というスコアを動かすことはできなかった。

 ただ、繰り返すが、最終節の敗戦は戦略の拙さを映した鏡の一つでしかない。チームは開幕の時点で「危機」だった。降格は必然だったと言える。

「この試合に人生のすべてをかけてきた。来年のことは何も考えられない。整理がつかないんです」

 湘南戦後、闘莉王は訥々(とつとつ)と語った。思考は追いつかず、感情は行き場がない。名古屋の歴史が、一方に大きく舵を切った。

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