闘莉王も呆然。グランパス史上初のJ2降格は、やはり「必然」だった (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki YUTAKA/アフロスポーツ●写真

 ところが、試合開始から名古屋は選手の脚が重い。前線からのプレスをはめられず、簡単にラインを突破されてしまい、中盤の防御線も易々(やすやす)と越えられてしまう。それを警戒しすぎて、最終ラインもズルズルと下がる。悪循環だ。

「最終戦で自分たちは気持ちが入っていたし、名古屋の選手の方がプレッシャーはかかっていたと思う」と、湘南の選手たちは揃って言う。すでに降格が決まっていたことによって、心理的に吹っ切れていた。単純な身体的レスポンスで上回って攻勢に出る。

 前半6分だった。この日、バックラインの前で躍動した湘南の山田直輝が、ペナルティエリアの右角から左足でコントロールショットをファーサイドに打ち込んだ。

「先制点が重要になると、試合前から言ってきました。自信を持ってプレーできるようになりますからね。結局、それを相手に入れられてしまった。今のチーム状況では、こうしたプレッシャーに抗いきれなかった」

 ボスコ・ジュロヴスキー監督は試合後の会見で悔しさを露わにした。彼は残り8試合で監督に就任し、以降の戦績は3勝3敗2分けと五分だった。降格の戦犯ではない。

 今シーズン開幕から指揮をとり、リーグ戦17試合勝ちなしという不名誉な記録を作って事実上、解任された小倉隆史監督の責任は、誰が見ても明白だった。

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