残留か、降格か。ヴァンフォーレは「アラフォーたち」に最終戦を託す (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 しかも今節の名古屋の相手は、2ndステージ好調のヴィッセル神戸。ほかに残留を争う15位のアルビレックス新潟はガンバ大阪、14位のジュビロ磐田は首位に立つ浦和レッズが相手だった。それぞれのカードを比較すれば、アウェーとはいえ降格チームが相手の甲府が優位なのは間違いなかった。実際に残留を争う3チームは、それぞれ敗戦を喫している。しかし甲府は1発のフリーキックに泣き、自力で残留できる絶好のチャンスをふいにした。

 途中までは、甲府の狙いどおりの展開だった。ほとんど5バックのような布陣で、湘南攻撃陣が飛び出すスペースをあらかじめ消しておく。ボールを奪えば一気に前線へ長いボールを送り込み、FWダヴィとFWドゥドゥのブラジル人コンビに願いを託す。創造性に欠けるサッカーゆえに、観る者とすれば退屈だったが、「残留」という使命を成し遂げるには「楽しませる」要素など必要はないのだろう。勝ち点を得るために、ただひたすらボールを追いかけるその愚直さは、ある意味で心を打った。

 もっとも、甲府にとって計算外だったのは、やはり先制点を奪われたことだ。崩される場面はほとんどなく、シュートを打たれる機会さえ稀(まれ)だった。にもかかわらず、たったひとつのセットプレーで彼らが描いたシナリオは破綻した。

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