【恩田社長の600日】もっともっとスタッフと一緒に働きたかった (4ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 しかし、ALSの平均進行具合から考えると、社長として陣頭指揮が執れるのは、せいぜい1~2年だろうと薄々思っていました。もっと、スタッフにとってFC岐阜が、働き続けることができる環境にしたかったです。視野を広く持ち、サッカー界だけに浸かって、"井の中の蛙大海を知らず"とならないよう導きたかったです。

 私がスタッフに語った、このような中長期の話は、私の代ではまったく成し遂げられませんでした。どこに行っても通用する力を付けさせることが、私の人材育成の肝でした。もっともっと、一緒にやりたかったです。

 華やかで夢のあるプロスポーツの世界に憧れて、すべてを投げ打って飛び込んでくる人がたくさんいます。しかし、その舞台裏は想像以上に泥臭い世界です。慢性の人不足の中で、リーグ戦をスタッフ総動員でこなし、あっという間にシーズンは過ぎ去り、息つく暇もなく次のシーズンの準備に突入するのです。

 FC岐阜の実態は過酷な中小企業です。他のクラブも、多かれ少なかれ似たような状況があるのではないでしょうか? 今のままでは人が定着せず、ノウハウも会社にたまりません。ステークホルダーの皆様は、チームだけでなく、ぜひスタッフのことも気にかけてもらえたらと思います。

 最後に私の近況報告をして、筆を置きたいと思います。

 私は4月にFC岐阜を離れ、この6月に新会社「株式会社まんまる笑店」を設立し、代表取締役社長に就任しました。(まんまる笑店ホームページhttps://ondasatoshi.com/company)

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