ミスを恐れず。原口元気の「野性プレー」がハリルジャパンの攻撃の形 (3ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 この試合では、ハリルホジッチ監督がW杯で世界の強豪と対戦する際に求める「攻撃の形」が垣間見えた。象徴的だったのは、原口元気がゴールを決めるまでの展開だ。原口が中盤でボールを奪取し、そのまま味方にボールを預け、ゴール前に走り込んでフィニッシャーとなった。これまでハリルホジッチ監督が何度となく口にしてきた「デュエル」と「タテに速く」が実践されたプレーだった。

 原口は、アジア最終予選2戦目のタイ戦でスターティングメンバーに起用されてから3戦連続ゴール。チームを活性化させている。最大の特長は、勢いのあるプレースタイルと、結果を求めるハングリーさだ。

 日本の指導者の多くはバランスを重視する傾向が強く、原口のように「野性的」なプレーをする選手を敬遠しがちだ。原口は、浦和ユース時代からその能力を高く評価されていたにもかかわらず、ロンドン五輪メンバー入りを逃すなど、各年代で代表の中核にはなれなかった。そうした経験があるからこそ、今も貪欲なプレースタイルを貫けているのだろう。

 ハリルホジッチ監督就任後、原口はボランチやサイドバック、右MFなど、本職ではないポジションで起用されることが多かった。それでも不慣れながら懸命にプレーして食らいつき、ようやく手にした本職FWでのプレーで「一発回答」した。

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