J3首位の栃木を支える異色のコーチは、元バルセロナ在住カメラマン (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 9月18日に対戦したSC相模原には、GK川口能活がいた。かつて取材する側、される側の関係にあった両者は再会を果たしたわけだが、川口は「こんなところで、なにやってるんですか、鈴井さん......」と、驚きを隠せない様子だったという。

 相模原の監督、安永聡太郎とも、かつては同様な関係にあった。安永が、スペインの2部(当時)リェイダに所属していた頃、鈴井カメラマンはその数少ない取材者の1人だった。その日、鈴井ヘッドコーチと安永監督が顔を合わせる機会はなかったが、試合後に「実は......」とメールを送ると、安永監督は驚いて、「なんで会いに来てくれなかったんですか」とリアクションしてきたという。

 いい話だ。人と人との関係は多種多彩だが、彼らの関係はこれぞスポーティと言いたくなるエピソードだ。

 昨季J2で最下位に終わりJ3に降格した栃木は、今季、今日的な悪くないサッカーで、2位大分に勝ち点4差をつけ、首位を行く。鈴井ヘッドコーチがその好成績にどれほど貢献しているのか定かではないが、チームが成功を収めれば、指導者の格も自ずと上がる。

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