2016.09.29

J3首位の栃木を支える異色のコーチは、
元バルセロナ在住カメラマン

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 ここだけの話、バルセロナに行ったばかりの頃は、カメラの操作法について僕以上に知識を持ち合わせていなかった。荒唐無稽と言わざるを得ない転職だ。そこからほぼ独学で猛勉強。ようやくカメラマンとして有名になった頃、また転職。華の都バルセロナから、日本でもサッカーが盛んな地域とは言いにくい沖縄へ、居場所も変えた。サッカー的には、1部リーグから10部リーグへ降格したようなものだ。

 指導者の道も順風満帆ではなかった。下部リーグの指導者ほど不安定な職業はない。鈴井は2年後、琉球FCを去る運命に。沖縄の地方クラブのコーチとして何年か過ごした後、15年、今度はJ3、ブラウブリッツ秋田のユース監督に就任する。そして今シーズン、栃木のヘッドコーチに就任した。

 何より感服するのは、東京→バルセロナ→沖縄→秋田→栃木と転々とする、そのいい意味での腰の軽さだ。もう少し詳しく言えば、その間、山口県でコーチをしていたこともあるし、職探しをする間、スポルティーバでもお馴染みのベテランライター宅に居候をしていたこともある。

 波瀾万丈の人生にしか見えないが、本人はいたって健康的。昔と変わらぬ、人なつっこい笑顔を向けてくる。