J3首位の栃木を支える異色のコーチは、
元バルセロナ在住カメラマン

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 岸本勉●撮影 photo by Kishimoto Tsutomu

 元フォトグラファー。サッカーをメインに撮影してきたフリーランスのスポーツカメラマンだ。96年から08年までの12年間、バルセロナを拠点に、スペインのみならず欧州、そして世界を駆け回り、多くのメディアに写真を提供。サッカー通の読者には知られた存在だった。

 一応、赤襷(たすき)のユニフォームで有名な名門FC刈谷の出身で、大学時代は礒貝洋光、澤登正朗らがいた東海大体育会サッカー部(トップチームではなかったが)に属していた過去を持つ。だが卒業後は選手を辞め、サッカー専門誌を出版する会社に就職。企画、編集、ライティングを一通りこなすマルチな編集部員として働いた。

 その経験から、バルセロナ時代も写真を撮るばかりではなく、時に原稿も執筆。すなわち栃木の鈴井ヘッドコーチは、格好よく言えば「ジャーナリスト出身の指導者」ということになる。

 スペイン通、バルセロナ通は、この世界に少なからずいるが、僕の知る限り、鈴井コーチが一番だろう。現地で実際に数多くの取材をこなしているからだ。彼は、バルセロナ在住者ならではの独得の現地感を持ち合わせていたので、監督、選手のインタビューを行なう際の同行カメラマンとして、頼れる存在だった。

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