サンフレッチェとレッズの「質」が逆転。
今の浦和は王者の資格あり

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 このハイリスク・ハイリターンとも言えるスタイルは、当然、一歩間違えれば危機にさらされる。そこを広島が逃すはずもなく、サイドで数的不利に陥りながらもこのエリアの攻防を耐えしのぎ、広大に生まれたサイドのスペースを鋭く突いていった。

 そして30分、右サイドのMFミキッチが対面するMF関根貴大の背後を突き、塩谷からのスルーパスを受けると、その関根にエリア内で倒されてPKを獲得。まさに狙いどおりの展開で先制のチャンスを得た。

 ところがこのPKをFWピーター・ウタカが外すと、流れは一気に浦和に傾いてしまう。直後の34分、逆にカウンターを浴びると、戻りながらの守備を強いられたDF千葉和彦が武藤のクロスをクリアしそこね、オウンゴールを献上してしまったのだ。

 それでも、「前半の戦い方は悪くない」と森保一監督が檄(げき)を飛ばしたように、広島のゲームプランが崩れていたわけではない。実際に後半立ち上がりにもミキッチやMF茶島雄介が決定的な場面を迎えるなど、同点に追いつくのは時間の問題かと思われた。

 しかし、またしても得点機の直後に失点してしまう。50分、高木のクロスからFW興梠慎三に2点目を奪われてしまうと、これで意気消沈した広島はその10分後にもカウンターから高木にダメ押しとなる3点目を奪われて、万事休した。

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