J3降格危機からJ1昇格争いへ。7月を境に横浜FCで何が起きたか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 その福田が最初に横浜FCの雰囲気を見たときは、愕然としたという。スペイン2部の厳しい環境で2桁得点した男にとって、選手は覇気に欠け、なにから手をつければいいのか分からないほどだった。案の定、就任直後のチームは連敗した。

「『危機的な状況にある』ということはみんなに伝えましたね。そして、『それを変えるのは選手自身なんだ』とも言いました。技術や戦術よりも、まずは気持ちの部分だと思ったんです」

 そう語る福田は、チームのエースストライカーであるイバに目をつけている。モロッコ系ノルウェー人のイバ(31歳)は当時20試合で3得点。身長190cm、体重88kgの大型FWは絶不調に喘いでいた。

「僕が初めて見たときのイバは、やる気がないというか、腐っていました。でも、日本人にはない体を持っているし、ボールを収める技術はあるし、パンチの効いた左足シュートも打てる。いろんなことを求められすぎていたので、ゴールに向かってシンプルにプレーさせれば、必ず戦力になると考えました。それでコーヒーを2人で飲みながら、"おまえは別格なんだ。必ず活躍できる!"って、いい気分にさせたというか。だから、僕が何かをやったんじゃなくて、これがあいつの力なんですよ」

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