小倉「解任」に思う。指導者育成なくして日本サッカーの未来は拓けない (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 たとえば、ブンデス・リーガは監督の平均年齢が日本より低い。ドイツでは2000年代半ばからサッカー協会が若手指導者養成に力を入れるようになり、各クラブが下部組織で経験を積ませ、そこで実績を残した指導者が2部や3部リーグのクラブで監督に登用されているからだ。

 そうした中から、香川真司のいるドルトムントを指揮するトーマス・トゥヘルのように、43歳で十分な実績を持つ監督が生まれ、リーグで優勝争いを繰り広げ、チャンピオンズリーグでも戦っている。さらに、ドイツは昨季途中からホッフェンハイムの監督になったユリアン・ナーゲルスマン(28歳)のような20代の指導者も出現している。

 こうしたことは、Jリーグも見習うべき点だろう。ただ、言うは易しで、クラブにとって若い監督に指揮を委ねる決断は難しい。成績が悪くなって降格すると、収入面でも大きな打撃を受けるリスクがあるなかで、実績のない若い監督にチームを任せた結果、降格してしまっては元も子もないという考えも理解できる。

「J2やJ3で中位から下位にいるクラブで若手が監督をやればいい」という意見もあるかもしれないが、それも少し筋が違う話だろう。どのクラブも昇格を見据えてチームを強化しているのであって、監督を育てるためにクラブが存在しているわけではないからだ。

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