小倉「解任」に思う。指導者育成なくして
日本サッカーの未来は拓けない

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 この他に練習メニューの策定、全選手のコンディションの見極め、対戦チームの分析、戦術トレーニング、若手育成、コーチ・スタッフとのミーティングなどもあり、これらに加えて、ときにはクラブとの交渉も必要になる。監督の仕事がこれほど多岐にわたることは、選手でもほとんど知り得ないことだろう。

 私自身、選手時代や引退後メディアの仕事を始めたばかりの頃は、こうしたことは知る由もなかった。しかし、S級ライセンスを取得し、2008年から3シーズンにわたって、オジェック監督、フィンケ監督のもと、浦和でコーチを経験して初めて理解できたことでもある。

 プロサッカークラブの監督という仕事は、ライセンスを有しているだけでつとまるものではない。監督業としてのキャリアをユースや大学などの現場で重ね、ひとつひとつステップアップしていき、指導者としての実績を積んでいく。そうした道をたどった監督がJ1クラブを率いる可能性が開けていく。そのような指導者の育成システムが、今後のJリーグの、ひいては日本サッカー全体の課題だろう。

 Jリーグは今シーズン開幕時点で、J1・18チームの監督の平均年齢は50歳。J2でも22クラブで監督の平均年齢は49歳。30代の監督はいないものの、私と同世代の長谷川健太監督(ガンバ大阪/50歳)、石井正忠監督(鹿島/49歳)、井原正巳監督(福岡/49歳)、森保一監督(広島/48歳)より若い名波浩監督(磐田/43歳)らの世代が、J1で指揮を執るようになり、以前に比べて若返ってきている。しかし、世界に目を向けると監督平均年齢がJリーグよりさらに若いリーグもある。

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