小倉「解任」に思う。指導者育成なくして日本サッカーの未来は拓けない (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 たとえば「選手のモチベーション管理」をとってみても、現場で実践するとなると多大な時間と労力を割かれる。チームには20人以上の選手がいるが、全員がフィジカルもメンタルも同レベルにあるわけではないからだ。

 チームの根幹を担う主力とレギュラーがいて、サブ組がいる。サブ組も、レギュラー争いに加われるレベルの選手もいれば、シーズンを通してあまり出場機会のない選手もいる。さらに、ベテランからプロになりたての若手まで年齢構成も多岐にわたる。そして、選手は経験や置かれた立場によって、それぞれ異なったモチベーションを持っている。

 レギュラーに抜擢された若手は放っておいてもモチベーションは高い一方で、去年までレギュラーで活躍したベテランが、新シーズンに控えに回されたらモチベーションを保てなくなることは想像に難くない。故障した選手が精神的に不安定になることもあるだろう。

 こうした選手ひとりひとりの立場や気持ちを察して、"チームの勝利"という目標に向かわせることは、たいへんな作業であり重要な仕事だ。これを疎かにしても、チームが好調なときは問題が隠れている。しかし、ひとたびチームの歯車が狂い出すと選手の不満が一気に噴出し、チームはバラバラになってしまう。

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