「闘莉王頼み」は早くも限界。名古屋J1残留の秘策もすぐ研究された (3ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • photo by AFLO


 ジュロヴスキー監督が、この3週間あまりでシンプルに行なってきた攻守の再整備により、チームは長いトンネルの先に灯りが見えてきている。監督が日頃から口にする、「欠けている自信」も、「自信と経験を持ってプレーできる」(ジュロヴスキー監督)闘莉王の加入で、取り戻す速度を速めている。それは闘莉王自身もわかっており、暗ささえ感じたチームの雰囲気を変えるだけでなく、「もっとよくしないと次勝てないぞ!」「1本を大事にしろ!集中しろ!」と練習から手綱を締めている。

 しかし、残留争いの渦中にいるチームは勝たなければ意味がない。「(新潟戦を勝ったことで)相手は前よりも気合いが入ってくる」と闘莉王が話すように、チームが変化し、結果を出し始めると相手の警戒度は間違いなく上がっていく。ここからの試合はさらに難しくなっていくだろう。

 闘莉王がすでにチームの攻守の要、精神的支柱となっているのは明らかだが、8カ月以上実戦から遠ざかっていた彼の能力のみに依存するのは危うい。G大阪との試合も、名古屋は80分を過ぎてから闘莉王を前線に上げてパワープレーを仕掛けたが、「どこかで闘莉王を上げてくることはわかっていたので準備してあった」と話すG大阪の長谷川健太監督は、すぐにDFを最終ラインに入れて5バックにし、余裕をもって対応した。

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